復縁を考えるとき、
気持ちが一つに定まらないのは自然なことだ。
やり直して救われた人もいる。
同じ相手とはもう戻らないと決めて、前に進めた人もいる。
どちらも、その人が辿り着いた正直な答えだ。
復縁には希望がある。
同時に、後悔が生まれる可能性もある。
うまくいく関係もあれば、
戻ったことで、以前より苦しくなる関係もある。
だから、
復縁が正しいかどうかを
他人の意見や体験談で決めることはできない。
ただ一つ確かなことがある。
一度別れている以上、
そこには必ず理由があったという事実だ。
大きな出来事があったわけではなくても、
小さな違和感は確かに存在していた。
言葉の選び方。
沈黙の増え方。
安心よりも、我慢が先に立つ感覚。
そうした積み重ねが、
静かに関係をすり減らしていった。
それでも別れたあと、
ふとした瞬間に浮かぶのは、
楽しかった記憶ばかりだ。
笑い合った時間。
何気ないやり取り。
あの頃の空気。
そして思う。
もう一度、戻れたらいいのに、と。
だが、そのときに思い出しているのは、
当時のすべてではない。
人の記憶は、
時間が経つほど都合よく整えられる。
苦しかった場面や、
何度も飲み込んだ言葉は薄れ、
心が温かくなった部分だけが残る。
思い出が美しく感じられるのは自然だ。
戻りたいと感じる自分を、
責める必要はない。
それは弱さではない。
誰かを本気で大切にしていた証だ。
ただし、その感情だけで選択すると、
同じ場所に戻ることになる。
復縁を考えるなら、
一度立ち止まり、
「なぜ別れたのか」を見つめ直す必要がある。
感情ではなく、事実を見る。
なぜ話し合いが減っていったのか。
なぜ一緒にいるのに満たされなかったのか。
なぜ我慢が当たり前になっていたのか。
「なぜ」を繰り返すほど、
別れに至った理由は輪郭を持ちはじめる。
そして気づく。
何も変わらないまま戻っても、
また同じ違和感を抱くという事実に。
変わらずに復縁するというのは、
同じ本を、同じページから
もう一度読み直す行為だ。
登場人物も、物語の流れも変わらない。
結末だけが変わることはない。
意味のある復縁には、
はっきりとした変化が必要だ。
距離の取り方だ。
言葉の伝え方だ。
相手への期待の仕方だ。
そして、自分自身の在り方だ。
それらが変わっていなければ、
やり直しは繰り返しに過ぎない。
思い出が美しく感じられる夜は、
これからも何度も訪れる。
そのたびに、
「やっぱり好きだったのかもしれない」
そう思う瞬間もある。
それでいい。
ただ、別れた理由を思い出す。
感情ではなく、頭で理解する。
それを重ねるうちに、
ふと我に返る瞬間が来る。
あの恋は大切だった。
だが、戻る場所ではない。
そう思える日は、
静かに、確実にやってくる。
忘れる必要はない。
思い出は美しいままでいい。
ただ、そこに戻らなくていい。
過去を否定せず、
未来を選ぶ。
それが、
復縁に迷いながらも前に進む人にとって、
もっとも誠実な選択だ。

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